【食品加工機械製造業社(以下、S社様)の例】

売上:年商数千万円
従業員数:3名
事業内容:特殊機械製造の単一事業

【依頼内容】

不安定な売上の安定化を図り、収益力向上をさせたい。

【外部環境(*1)の分析】

依存関係にある業界の売上は頭打ちにあり、
大手競合(以下、A社)が価格競争を仕掛けてきている。

【内部環境(*2)の分析】

A社製品の耐久性に不満を抱いた顧客からの問い合わせと購入が多く、またリピート率も高いことから、技術力が高いと言える。

大手であるA社と比較した場合、ブランド力の脆弱性は認めざるをえない。
また、営業担当者の経験が浅く営業力の脆弱性を認めざるをえない。

 

【御提案内容】(一部抜粋)

まず、大手競合A社のの顧客がS社様に流れて来ており、リピート率も高いことから、
「職人かたぎ」であり技術力が高い中小企業の典型例であると言える。

メーカーはその規模に関わることなく、「営業」「技術」「製造」の三つのカテゴリーに分類することができる。

この三つのカテゴリーの中で、評判の高い技術力、現在の売上規模を賄える製造能力に関しては改善の余地は少ないと考え、営業力強化の施策を考える。

よくあるのが、営業経験の豊富であり機械に精通している人材の獲得である。

しかし、正社員として迎え入れた場合、人件費が固定費(*3)に加わることになり、万が一売上が下がった時にはリスクとなってしまう。

これではS社様にとって良い提案とはいえない。

他に、営業部門を外部に委託するという方法もある。

委託の場合、S社自身の営業力が増強されないという弱点もある。

また、委託業者に対する依存度が高いため、リスクも高いと言える。

これもまた、S社様にとっては良い提案とはいえない。

今回は、この両案の折衷案を提案した。

営業経験が豊富であり機械にも精通しているシニア人材と業務委託契約を結び、成功報酬により謝礼を支払う

シニア人材バンクなどを有効活用するのが良い。

委託契約の中に、S社の営業能力強化への協力も盛り込む

シニア人材は20年、30年という長期勤務を希望する人たちは少ない。

逆に、自分の関わった企業の健全なる発展を望む人たちが多いことがあるので、S社の営業能力強化に協力的なシニア人材を探すのは可能であると考える。

S社様御自身で営業力を強化するという方法もあるが、営業ノウハウ取得には知識と経験の両方が必要である。

勉強すれば、マーケティング(売れる仕組み作り)の知識は得られるが、経験は習得できない。

これを克服するためには、経験豊富な実力者と手を組むのが一番である。

 

結果が出るまではまだ時間がかかるが、S社様の発展を心から祈念しております。

 

【付記】

*1: 外部環境

自分の会社を取り囲む状況を指す。

例:原油価格が下がりガソリンの価格が下がり、ガソリンスタンド店が儲かったとする。この時、ガソリンの価格が下がっていることが外部環境の変化(機会)であり、ガソリン価格の変動が外部環境。

反対に、中国製品の輸出が急増し価格競争激化を招き国内産業に悪影響を与える時、
中国製品の輸出急増が外部環境の変化(脅威)であり、中国製品の輸出量の増減が外部環境。

「環境」の意味は排気ガス汚染やCO2増加などに使う「環境」ではないことに留意されたい。

*2: 内部環境

自分の会社の内側にある得意分野(強み)や苦手な分野(弱み)を指す。

例:我が社の自慢は技術力の高さである!という場合、技術力は内部環境の強みである。
逆に、我が社には熟練の営業担当者がいない!という場合、営業力が内部環境の弱みとなる。

*3: 固定費

ある製品を一つ作るのにいくら発生するかという変動費に対して、
製品を作る作らないに関わらず発生する費用のこと。

例えば、正社員の給料、毎月の家賃、定額制のインターネット使用料などがこれに当たる。

固定費は売上が下がり利益が減少した時にでも発生するため、経営上のリスク(危険性)を増加させることが多い。

 

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